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可能性

詩的な家具の世界へ−−−序章

1994.10 ベルギー INTERIUR'94, INTERNATIONAL COMPETITION 入選(Kortrijk)

いつの時も、社会や経済を反映して、物が生み出されていく。21世紀へ向けての物作りは、ローコストで便利さをより追及されことでしょう。

食事をしたりくつろいだりする空間の家具も、実使用からくる便利さを求められるでしょう。

便利さを増す今後の社会は、人間の機能だけを追及していくようにも思えます。行為の無駄を省くそこには、豊かな世界とは思えない寂しさを、私達は感じるでしょう。

例えばテーブルは、人の集まりをその機能としてもっていたが、いつしか儀礼的な意味や、そこに置かれる椅子の形態から、カジュアルからフォーマルまで、人とのつながりを、ただ形式的に序列化しようとしている。無味乾燥的なデジタル化していく今後の暮らしを、日本人だから感じ得る詩的な空間を椅子式生活の中で表現し、真の快適な住まい方を一連の家具群で提案していきます。

この照明付サイドテーブルは、詩的な家具世界の序章です。

■ 照明付サイドテーブル

このテーブルの甲板は、木材のくずを再利用したチップボードからなり、そしてそのチップの表情を塗装方法により、模様としてデザインに生かすことができました。テーブルの脚部には、突然思いがけずに出会えた形態を見ることができるでしょう。

かつての日本の照明器具の一つに「行燈」というものがあります。四角い木の枠に和紙を張り、中に油受けを置いて火をともしたもので、紙を通した柔らかくやさしい光でした。

このテーブルの甲板の下には、インセット型のハロゲンライトがついていて、さらに布で覆うことにより、柔らかく妖しげな光を出すでしょう。照明付サイドテーブルは、ソファやアームチェアの脇に置かれたり、部屋の片隅に置かれたりする。偶然性を感じさす形態と布を通して柔らかな光は、われわれの快楽的とも官能的ともいえる感覚を触発し、心をなごましてくれるでしょう。
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