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カフェコラム

市場感性…空間をつくる楽しみ

このシリーズの中で、市場が作る感性とはどういうことなのかをみてきました。市場感性は商品が作り出す恣意的なものであり、雑誌メディアによって同じ商品でも違ったイメージを創りだすこともあります。そして多くの場合、商品を生み出す側は、雑誌に取り上げられることを喜びます。雑誌のイメージが付加されるからです。
また市場調査から、これから先の流行を探ることはとても難しいことです。しかし、市場感性というものが、どのように出来上がってくるのかということを考え、その網目を解すように、その時の流行を見つめていけば、流行の根源的なものが見えてきます。前回、例を挙げましたように、若者に「和」が入り込んでいます。彼らのファッションは着やすく、シンプルで色を楽しめ、機能的であり、「和」の最低限の機能と結びついているから受け入れられている、と読むことができます。
さらに、先を読んでいくことにします。
和の商品が巷に出てくると、ノスタルジー(懐古主義)というなつかしさとして、流行を読みがちですが、今の和の流行は、最低限の機能として無駄がなく、使用しやすいものと読むべきでしょう。そして無駄がなく使用しやすいということは、部屋のコーディネートがしやすく、雑貨との微細な感覚を独自に創りだすことができ、楽しむことができます。例えばこの最低限の機能を持つ家具は、他の雑貨と合わせて日本の四季を楽しんだり、近未来のイメージを創ったりして、空間としての各部屋のコーディネートを楽しむことができるからです。
若い世代には和のデザインが、最低限の機能であるがために、無駄がなく空間が創りやすく、雑貨とのコーディネートから各自のライフスタイルをイメージしやすく、空間を楽しむものとして流行っていると言えるでしょう。また和のデザインの要素の過飾がなく、移動しやすく変化しやすいということも、大事な流行素となっています。
市場から読み取る感性は、その根本的流行素を思考し、分析することが大事であり、そして読み取った流行素を商品開発に取り入れない限り、次の商品デザインは遅すぎたものとなるでしょう。
CAPIC 製品も和が根本にあります。今の流行の和は、シンプルな最低限のデザインで、変化しやすく、移動やすく、そしてコーディネートを楽しめる、微細な感覚のものです。
「流行の和」の波にCAPIC 製品が、さらに乗っていくことを期待しております。

スガワラデザイン室 菅原孝則

2001年12月25日 法務省矯正局作業課発行 アプローチvol.37

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