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市場感性…かたちと空間の認識

私達は、ある室内に入った時、そこは何をする空間なのかと無意識に感じ取っています。そこが、リビングなのか、ダイニングなのか、あるいは、オフィスでは、会議室なのか、応接室なのか。
また、ある家庭のリビングルームに初めて通されたことを想像してみましょう。そこに置いてあるソファが丸味を帯びてやわらかなものが置いてある時と、角張った、重厚なソファが置いてある時とでは、緊張感が違ってきます。家具のデザインも人の心理に左右してきます。
私達は、初めて入る部屋でも、そこに置いてある家具を「椅子」や「テーブル」と呼んだり、また、その配置によって、部屋の機能を認識しています。そして、家具のデザインや種類によって、今までの経験から様々なタイプと照らし合わせて、部屋のイメージを認識しています。
しかし、この感性は、世界中の人が同じでしょうか。
市場感性は、各国の文化や商品構造の中にある様々なイメージタイプと連結しているため、世界中の共通認識とはなりえません。
私達は、無意識の内に、商品構造がつくりだす感性、すなわち市場感性が、自分たちの感性となっているのです。
この市場がつくりだす感性は、各国の商品市場によっては異なります。例えば、イタリアモダンな家具は、日本でも人気の高い商品ですが、日本人が感じるそのイメージと、イタリア人が感じるイメージとでは違っているでしょう。イタリアモダンの家具には、スチールパイプのクロームメッキ仕上げのものが多くありますが、一般的に日本では、あまり売れる商品とは、なりえていません。日本では、パイプの椅子は、折りたたみパイプ椅子や、ラーメン屋等の安価な家具のイメージがつきまとうからです。
市場感性は、商品という現物だけではなく、インテリアや流行雑誌がつくりだすイメージの中にも多く登場します。
時には、商品イメージとは別に雑誌イメージがその商品イメージを変えることがあります。トレンディドラマに登場した家具は、製品とは別のイメージが付加されます。
市場感性は、実に多様なイメージを次から次へと消費者に与えます。Capic製品の市場感性の中でのイメージ付け、そして、市場感性をどのようにとらえて参照し、Capic製品の方向性を見つめ直すことが、今後、ますます要求されることでしょう。

スガワラデザイン室 菅原孝則

2001年8月1日 法務省矯正局作業課発行 アプローチvol.35

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