日本の生活スタイルは、「茶の間」・「中の間」・「奥座敷、床の間」という独特の『間』があり、これらの空間でハレとケ、家族と来客のコミュニケーションを行ってきた。3LDK等という都市型住居に変わっても、日本の心の『間』は生きている。
農業に関わる産直店をこの視点から見ると、『間』の良くないお店によく出会う。それは、お客様が地域住民なのか、観光客なのか、もしくはその比率が明確に把握されてないお店造り、お店が茶の間なのか、座敷なのかがはっきりしない産直店がまずあげられる。また、普段の食材なのか、ハレの食材なのか、お土産なのか、贈答品なのか分からない商品と陳列、茶の間で食べるのか、奥座敷で食べるのか分からないお店の構成だ。
農作物という商品に、生産者の顔写真や朝採りマークだけでは、消費者の購買意欲は上がらなくなってきた。安全・安心は当たり前のこと。農作物という商品が、ここでは、茶の間の商品なのか、なぜ奥座敷の商品となるのかを分かりやすい答えでディスプレーし、そして中の間コミュニケーションなのか、座敷に上がっていただくお客様なのかを考えた産直店創りを目指すことも、成功の第一歩と考えられる。
産直店デザイン手法の一つとして、日本の心『間』を再考されたらいかがか?。
群馬県経営構造アドバイザー
一級建築士事務所スガワラデザイン室代表
菅原孝則
平成18年9月8日(金)付 全国農業新聞「群馬のページ」掲載